Thesis

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は一体、何が間違っていたのか? 世界的議論を巻き起こした、緩和ケアの大御所によるACPのアウトカムに対する懐疑的な提言論文です。 

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は一体、何が間違っていたのか? 世界的議論を巻き起こした、緩和ケアの大御所によるACPのアウトカムに対する懐疑的な提言論文です。 

JAMA,2021

R. Sean Morrison, et al.

「What’s Wrong With Advance Care Planning?」という衝撃的なタイトルな論文のご紹介です。 米国では2020年以降、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に対して望まれるような結果が出ていないとして、批判的もしくはプロセスの再考を迫るような論文が多数発表されていることをご存知でしょうか? その始まりはいわゆる『Morrison論文』と言われるものになりますが、こちらはその続編になります。この論文の要点として、「ACPは本質的には理屈が通っていたが、望むような効果がないことを各種エビデンスは示唆している。多くの医療者は、必要な意思決定のかなり前に患者との会話を促進しても、期待どおりにその後のケアが改善されなかったことに失望しているだろう」と記載されています。我々は、有効なエビデンスが示されていな治療薬や、術式を患者さんに適応することはまずないはずです。同様に、盲目的にアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を肯定する姿勢に、疑問を感じます。もちろんアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要で、必要性の高い患者さんが一定数いることは全く否定しません。しかし、大衆的にすべからく「アドバンス・ケア・プランニングは大切」とする風潮は、その功罪もよく考える必要があると思うのです。拙著「緩和ケアポケットマニュアル」でもアドバンス・ケア・プランニングの話題が全くと言っていいほど出てこないのは、このような背景を考慮してのものです。

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