コラム column
カナダの医学者ウィリアム・オスラー(William Osler, 1849年7月12日 - 1919年12月29日)は
「Medicine is a science of uncertainty and an art of probability. (医学は不確実性の科学であり、確率のアートである)」
という言葉を残していますが、臨床現場ではサイエンス偏重に偏りがちであり、
人間性やコミュニケーションなどはややもすれば軽視されることがあり、
意図的にアートに触れ、感性を磨くことが重要と考えています。
医療・介護・福祉関連のトピックはもちろんのこと、芸術・時事問題・ポエムまで、徒然なるままに記述するコーナーです。
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なぜ『緩和アカデミー』を立ち上げたのか
未分類緩和アカデミー代表の宇井は緩和医療を得意と自負している医師(総合診療/総合内科医)ですが、超高齢社会を背景として、患者さんやご家族から「何か苦痛を和らげる方法はないのですか?」と症状緩和を要望される場面が増えていると感じます。 このような時、あなたは十分な対応ができているでしょうか? 「自分がもっと緩和医療のスキルを持っていたら…」「緩和ケアに慣れた別の医師ならもっと上手く症状が取れるかもしれないのに、患者さんに申し訳ない…」などと歯がゆさを感じてはいませんか? かくいう私も、このように感じたことは一度や二度ではありません。そのような気持ちから「緩和ケアポケットマニュアル」として必要な知識をまとめることを一念発起し、内科学会の総会ではベストランキング書籍入りをすることができました。 さらに自分と同じように感じている多くの医師の役に立てるよう、2023年に「緩和医療の基礎体力をつけるトレーニングプログラム」、略して【緩トレ】を発足しました。家族の病気や緩和ケアポケットマニュアル(改訂3版)の執筆などで一時中断しておりましたがML参加者は300名を超え、「緩和医療のニーズはたしかに存在する」という手ごたえを掴むことができました。そこでトレーニングプログラムの【緩トレ】だけでなく、周辺の臨床情報や書籍の紹介や研修案内などをまとめたサイトを立ち上げることにしました。 『近代ホスピスの母』と呼ばれるシシリー・ソンダース先生も「私が癌の末期になったときに望むのは牧師が話を聞いてくれたり祈ってくれることでもないし、精神科医が何かを聞いてくれることでもなくて、正確に痛みの原因を診断し軽減するための治療をすぐに実行してくれることです」と述べています。 喫緊に必要とされているのは症状緩和に焦点を当てた『緩和医療』のスキルであり、患者さんやご家族のすがるような想いに応えられるかは、医療用麻薬(オピオイド)をはじめとした薬剤選択と投与経路・投与量の設定はもちろんのこと、「病状が変化した時の次の一手」を知っているかにかかっています。 緩和アカデミーが、その一助になれれば望外の喜びです。※バナーはお気に入りの岡本太郎のことばより
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