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『あなたにもできるスピリチュアルケア』出版記念セミナー 〜認知症になっても自分でできないことが増えても、穏やかに過ごすことはできますか?〜

『あなたにもできるスピリチュアルケア』出版記念セミナー 〜認知症になっても自分でできないことが増えても、穏やかに過ごすことはできますか?〜

2025/05/04

スピリチュアルケアは方法論が確立されているとは言えません。
『あなたにもできるスピリチュアルケア 〜認知症になっても、自分でできないことが増えても、穏やかに過ごすことはできますか?〜』という出版記念セミナーを視聴したので、その学びのまとめと感想です。
小澤先生、加藤さん、豊原さんという皆さん一度はお会いしたことがある豪華な登壇者で楽しみに拝見しました!
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以下、自分なりにポイントをまとめます。

・若年急性期は治せる病気も多いが、高齢者慢性期になるほど直せない病態が多くなっていく。その時に入院させたり、厳しいルールを守らせることにどれだけ意味があるのか。少なくとも自分は嫌である。そもそも認知症は85歳の40%、90歳の60%、95歳の65%に起こる老化現象。海馬の萎縮に伴って情報を保管できなくなる代わりに、感情を司る扁桃体が補う。施設のスタッフにいつも同じ時間に「お風呂入りましょう!」と言われれば嫌だし、その人が来るだけで殴りかかるようになってしまう。医療・介護がその人を認知症にしているのである。不安で他の人に頼れない・信用できないからこそお金を大切に持ち歩くようになれば「物取られ妄想」につながるが、「なぜその人が不安になったのか?」と想いを寄せて考えることが大切。記録に「帰宅願望」と書いてあって多職種で引き継げば、その人は『帰宅願望のある悪い人』になってしまう(診療の「拒否」も同じであろう)。デイサービスの椅子に1日7時間も座らせられれば、誰だって帰りたくなる。スタッフの自由なふるまいに責任を持つの責任者の仕事。医師も「自分が責任を持つから」と言える様になりたいものである。

・目標は『より良い人間関係の構築』であり、「10時にお茶を出して、12時に食事を出す」ことではない。介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格であり、介護の専門家として認められる資格なのだから、自分で「この人に必要なことは何なのか」と判断して行動すべき。決して「10時にお茶を出して、12時に食事を出す」ことではない。

・あなたの勤務は労働なのか、仕事なのか、活動なのか。労働は金銭的対価のために働くこと、活動はそれに食われて自分のしたいことが加わる。活動は「ボランティア活動」という言葉に代表されるように、近瀬金的報酬がなくてもしたいことを指す。

・日本は高齢最先端国として見られており、日本の後に韓国・アジア各国、その後に欧州などが順次高齢化してゆく。日本はよく乗り切ったと言われるか、やっぱりダメだったなと言われるかは、現場の我々にかかっている。介護は社会を変え、世界を変えられる最先端の職種である。

・心理的安全性をいう言葉は使っていない(『自己肯定感』も同様である)。『ケア』とは何か、知っているか? 高齢者や弱者にお世話をしてあげることではない。「気にかける」という意味である。「ケアをする」とは、その人が生活の質を上げるために、どうするか伴奏すること。言葉はしっかり落とし込んで使用したほうが良い。

・「気にしてくれる人がいると嬉しい」のであれば、医療者は何かをしてあげる縦の関係のではなく、「気にかけてもらっている」という横並びの存在になりたい。「ご家族はあなたのことを大切に思っていますよ」などと『言葉をつなぐ架け橋』になれたら、医療者としてこれほどやりがいのある仕事はない。


★本セミナーを通して、普通に「自分が嫌なことを人にしない」ということが肝要だったよ、それって対人関係の基本だよな、と再認識することができました。原点回帰です。
そして介護の強みは、「元気な時からも生活に関わっていること」。
介護→看護→医療と分断したケアをするのではなく、横断的な支えを提供したい、と強く感じました。

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